「筋トレ?」と聞かれた。公園で、ぶら下がっている途中だった。うまく答えられなかった。自重、とだけ言って降りた。あとから考えると、足りない。
ジムのマシンは軌道を決めてくれる。キャリステニクスは、自分の体重と、地面・鉄棒という硬い接点だけで、引く・押す・支えるを作る。ボディメイクの回数勝負だけじゃない。今できることから、次の技までの道筋。僕が公園でやっているのは、そっちだ。
自重トレは手段の名前だと思う。キャリステニクスは、その手段で技を積む文化に近い。回数の自重トレは消費や見た目が先に来ることがある。プッシュアップを無限にやる。場所はどこでもいい。ここで言うほうは、できることが増える。懸垂からマッスルアップ、みたいに段階がある。主戦場は公園の鉄棒。両方やっていい。僕は公園のほうに、時間が寄っている。
最初の3ヶ月でマッスルアップ、と書かなくていい。僕も書かなかった。書けなかった、が正確だ。先に残したかったのはこれ。痛みなくバーにぶら下がれること。肩を耳に入れないハング。斜め懸垂か、フルレンジ懸垂の形が分かること。床のプッシュアップで肘を伸ばし切れること。手首と肩のウォームアップを、技の一部としてやること。
飛ばすと、遷移で肩が抜ける。抜いた。人前だった。地面に落ちて、手が砂利をすった。周りは普通に話している。自分だけが、熱い。あの日から、段階を飛ばすのが怖くなった。頑ななのは才能じゃなく、再発したくないだけだ。
ここに書いているのは、技の名前を増やす前に、怪我と習慣の話が多い。公園の砂、バーの錆、子どもの声。それが教材だ。定義より先に、手がバーを覚えている。
今の僕にとっての答えは、シンプルになった。体重を、硬いものに載せて、昨日より少しだけ上手く扱う。それ以上の定義は、バーの上では要らない。